DIYでも確実に作業できるよう、必要な工具・注意点・交換手順・交換後のリセットまですべて解説していきます。正確に作業できればなにも難しい事はありません。
- はじめに:作業前に必ず知っておくべき2つの重要ポイント
- ■ 1. 古いバッテリーは「回収・リサイクル」が必要
- ■ 2. 交換でリセットされる項目(ここが面倒なら業者に任せるべき)
- ■ STEP1:ラゲッジスペースを開ける
- ■ STEP2:バッテリーステーを外す
- ■ STEP3:−(マイナス)端子を外す
- ■ STEP4:+(プラス)端子を外す
- ■ STEP5:ガス抜きホースを外す
- ■ STEP6:古いバッテリーを取り出す
- ■ STEP7:新しいバッテリー(S42B20RHV)を載せる
- ■ STEP8:+(プラス)端子を接続
- ■ STEP9:−(マイナス)端子を接続
- STEP10:ステーの取り付け
- ■ STEP11:カバー類を元に戻して作業完了
- ■ 1. パワーウインドウのオート初期化
- ■ 2. 時計の再設定
- ■ 3. エアコン設定の復帰
- ■ 4. ナビ・オーディオ設定の復旧
- ■ 5. ステアリングセンサー(稀)
- ■ 6.バックドア
- 余談:今回バッテリーを交換した理由
はじめに:作業前に必ず知っておくべき2つの重要ポイント
プリウス30系の補機バッテリー交換は、工具さえあれば誰でもできます。しかし、作業を始める前に必ず知っておくべきポイントが2つあります。ここを理解していないと、後で困ったり、最悪は電装トラブルにつながることがあります。
■ 1. 古いバッテリーは「回収・リサイクル」が必要
プリウスの補機バッテリーは鉛バッテリーで、一般ゴミでは絶対に廃棄できません。
処理方法は以下のいずれか:
- カー用品店(オートバックス・イエローハットなど)へ持ち込む
- ディーラーへ持ち込む
- ネット購入した場合、販売店の「無料回収サービス」を利用
持ち運びの際は液漏れとショート防止を徹底。
いつもお世話になっている車屋さんに事前に確認を取ってOKが出てから作業をするなど、まずは 処理方法を確定させておく必要があります。
■ 2. 交換でリセットされる項目(ここが面倒なら業者に任せるべき)
プリウス30系は、補機バッテリーを外すと複数の設定が初期化されます。
リセットされる主な項目
- 時計の時刻
- ナビの設定(セキュリティを設定している場合はパスワード)
- バックカメラ設定
- バックドア
- パワーウインドウのオート機能
- トリップメーター・平均燃費
- ステアリング舵角補正(稀に起こる)
「この再設定が面倒だ…」という場合、DIYはあまり向きません。
逆に これを理解していればDIYで何の問題もありません。
私はこの作業で残念だったのは燃費の記録が消えてしまった事でした。
【この記事で紹介する内容】
- バッテリー型番の選び方と調べ方
- 必要な工具
- 交換時の危険ポイント(+と−の取扱い)
- 実際の交換手順
- 交換後のリセット方法をすべて網羅
- 初心者でも安全にできるコツ
この記事だけでプリウス30系の補機バッテリー交換作業が完結します。
使用したバッテリー:GSユアサ S42B20R
プリウス30系(ZVW30系)の純正互換として広く使われているのが
GSユアサ S42B20R
- ハイブリッド車専用設計
- メンテナンスフリー
- 過放電に強い
- 信頼性が高い(純正同等)
「どれを買えばいい?」と悩む読者へは、この型番を提示すると間違いがありません。
バッテリーの型番(サイズ)と検索方法
バッテリーは型番から適合を確認します。
プリウス30系の補機バッテリーは後部ラゲッジエリアに搭載され、一般的なエンジンルーム用バッテリーとは異なります。
■ 検索方法
- Amazon・楽天・イエローハット等で
「プリウス 30 バッテリー」
と検索 - 表示された中から
S42B20R/S42B20R HV
の型番を選ぶ - 年式での適合に例外はほぼない
「B20」の部分は外寸、「R」は端子位置を示します。
ハイブリッド車は**必ずHV(ハイブリッド用)**を選ぶこと。
メーカーは「BOSCH」「GSユアサ」「パナソニック」などを選ぶといいでしょう。
あまり聞いたことのないバッテリーはダメではないでしょうが私は避けます。
標準のサイズは 「S34B20R」か「S46B24R」です。私が使用したのは👇です。
大容量のものが良ければ「S55B24R」でも取り付けできます。
DIY交換に必要な工具
最低限必要なのは下記の通り:
- 10mmレンチ or ラチェット&ソケット(セミディープorディープ)
- 軍手 or 絶縁手袋
- ラジオペンチ(固定クリップ外し用)
あれば便利:
- バックアップ電源(OBD2タイプ)
→ リセットを最小限にできる
いろいろな種類があります。
- モバイルバッテリーを使用するもの
- 乾電池を使用するもの
- ワニ口でバッテリーに接続するもの
- 充電式で挿すだけでOKなもの
普通の使用方法なら2年に一回ほどしか使用しないでしょうから、モバイルバッテリーを使用するものがコスパ的にはいいのではないでしょうか。
※バックアップ電源がなくても作業できるよう、本記事では「無しでやる方法」を中心に説明します。
【重要】交換中の注意事項(初心者がやりがちな危険ポイント)
DIY初心者が一番やりがちなのが
「+と−端子が触れてバチッと火花が出る」
というショート事故。長い工具を使って端子同士を工具で接触させるとショートします。
これを完全に防ぐには以下を徹底
✔ 作業は必ず “−(マイナス)から外す”
理由:
−を外せば車のボディと電気的に切り離されるため、ショートが起きにくい。
✔ プラス端子を外したら絶対に工具を触れさせない
プラス側は常に電気が生きているため、マイナス端子に触れると即ショート。
✔ 外した端子はバッテリーから遠ざけておく
ラゲッジスペースは狭いので端子が跳ねて戻りやすい。
養生テープで軽く固定すると安心。なにかウエスを巻いておくと安心です。
以上を守れば、DIYでも安全に作業できます。
プリウス30系 補機バッテリー交換手順
この章では、DIY初心者でも確実にできるよう順番と理由も説明します。
バッテリーのマイナス端子を外した状態でバックドアを閉めてしまうと開かなくなるので作業途中で絶対閉めないでください。
■ STEP1:ラゲッジスペースを開ける
プリウス30系のバッテリーは
右後ろのラゲッジスペースにあります。


- ラゲッジマットを外す
- 黒い物入れのようなものを外す
- 右側のカバーをめくる

このカバーの下にバッテリーはあります。
左側に見えるオレンジ色の物は絶対に触ってはいけません。
ハイブリッド系の物で高電圧部位はオレンジで統一してあり12Vではない部分です。
触るには資格が必要になるのと、作業ミスにより危険がともないます。
エンジンルームにも存在するので絶対に触らないでください。
■ STEP2:バッテリーステーを外す

コネクタを外します。多分バッテリーの温度センサでしょう。
そのあと10mのナット・ボルトを外せば完了です。+の端子(赤)はまだ触らないようにしましょう。
ちょっとカバーが浮いているのはダメな例です。

■ STEP3:−(マイナス)端子を外す
最重要ポイント:
❗ 必ず「− → +」の順番で外す
逆にすると事故の元。マイナス端子はボディ全体に接続されています。
プラス端子を触っているときに工具がボディに接触しただけでショートします。
絶対にマイナス端子から外してください。

10mmナットを緩めて端子をスポッと外し、
絶対にバッテリーへ戻らない場所へ置いておく。

■ STEP4:+(プラス)端子を外す
赤いカバーを開け、10mmで固定ナットを緩める。
こちらもショートさせないように慎重に。
この時は工具がマイナス端子に触らなければショートはしません。一応ボディに当たっても平気ですが極力どこにも当たらないように作業は進めてください。
■ STEP5:ガス抜きホースを外す
補器バッテリーは車内に設置されているため、バッテリー充電時に発生するガスを社外に抜くためのホースが接続されています。
ささっているだけなので引っこ抜いて新しいバッテリーに接続する必要があります。

接続しないのを試したことはありませんが、急速充電中などは結構鼻につーんとくる臭いがしたりするので車内に充満した場合はかなり体に悪いことになるので接続を忘れてはいけません。
■ STEP6:古いバッテリーを取り出す
プリウスの補機バッテリーは小型だが、
角度をつけないと出てこないため注意。
※液漏れしていたら絶対に触らず、手袋を着用。
■ STEP7:新しいバッテリー(S42B20RHV)を載せる
向きを間違えないように注意。
プリウスは「R(右端子)」タイプ。

ガス抜きのホースの取り付けも忘れずに。
■ STEP8:+(プラス)端子を接続
取り外しと逆で、
接続は + → − の順番。
ナットの締めすぎに注意(端子破損の原因)
端子を回すようにしてみて動かなければそれでいいです。締めすぎて端子が折れた場合は使えません。
液が漏れだし車内が錆び、布は焦げます(希硫酸が入っているため)
■ STEP9:−(マイナス)端子を接続
これで電気系統が復旧。

STEP10:ステーの取り付け
ステーを取り付けボルトナットを締め付けてコネクタを接続して作業は終了です。
ナットは締めれば締めるほどバッテリーを締め付けていきます。
バッテリーが動かなければいいので端子をゆすって、バッテリーが動かなければいいので、ここも締めすぎないように注意して下さい。
■ STEP11:カバー類を元に戻して作業完了
ここまでの作業で、おおよそ20分ほど。
バッテリー交換後のリセット手順(DIYで全部できる)
プリウス30系は交換後にいくつか初期化が必要です。
■ 1. パワーウインドウのオート初期化
▼操作方法
- 運転席スイッチを使って窓を全開
- 全閉にする
- 全閉の状態で2秒以上スイッチを引き続ける
以上でオート機能が復活。
■ 2. 時計の再設定
メーターの「H」「M」ボタンで設定。
■ 3. エアコン設定の復帰
AUTOボタンで再度学習。
体感的には数分で正常に戻る。
■ 4. ナビ・オーディオ設定の復旧
最も多い「できなくなる項目」
バックカメラの設定があるので設定しないとバックレンジに入れてもカメラが切り替わりません
プリセットは保持されることが多いが、時刻・ルート履歴などが消える場合あり。
セキュリティーを設定している場合はパスワードを要求されます。
■ 5. ステアリングセンサー(稀)
ハンドルを左右に全切りすると復活するケースあり。
■ 6.バックドア
作業完了後一度パワーウィンドのスイッチのところでロック・アンロックで作動するようになります。

交換後のチェックポイント
- メーターに警告灯が出ていないか
- エアコンが正常動作するか
- ラジオやナビの音が出るか
- ウインドウのオートが効くか
- スマートキーの反応が悪くないか
ここをチェックして問題なければ作業成功。
まとめ:プリウス30系の補機バッテリー交換はDIYで十分可能
この記事の流れ通り作業すれば、DIYでも確実に交換できます。
- 必要な工具が少ない
- バッテリーは1種類を選べばOK
- 交換後のリセットも簡単
- 作業時間は約30分
- 注意点は「−から外す」「+と−を接触させない」だけ
- バッテリーの処分は適切に
プリウスの補機バッテリーはエンジン始動ができないトラブルの原因にもなるため、
古くなったら早めの交換が安心です。
この記事を参考に、ぜひ安全に作業を進めてください。
余談:今回バッテリーを交換した理由
プリウスのバッテリー点検はカバーなどを外さなければいけないためめんどくさいので常に電圧を表示させています。

たしかミラースイッチの電源から分岐させて電圧を表示させています。
通常走行しているときは14.7Vあたりを表示していましたが、最近13.8Vなど13V台の表示がしばしば出ることがありました。13V台を目にすることは無かったのでそろそろ寿命を感じました。
寒くなってきているのとバッテリーにプリントされているこの数字

261219の意味は逆から読んで「19年12月製造」という意味です。
使用開始時期はわかりませんが製造から5年経過。バッテリーの寿命は2~3年と言われているので倍近く使用しています。
常にブースターケーブルは積んでいますが電圧が不安になる数値を表示するのでここで交換です。
車の状態を常に気にしておくのもトラブル回避には非常に重要です。

これはあまり関係ないですが車内温度を表示させるようなものもあります。


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